こんな事が度々起きているのを知っているのは引率している私ばかり。同行の7名の人達にとってはヨーロッパ旅行は初体験である。そしてこの誰もがパスポートが命の次に大切だと知っていても、ひどい目に遭ってみない限りその重要さを認識しないだろう。

パスポートを盗まれた後の旅はメチャメチャになる。まずは本人を連れて警察に行き、その書類を持って日本大使館へ。失くした本人は仮のパスポートは作ってもらえるものの、盗難に遭った国からは一歩も出られず旅行は中止。日本に帰るより無いのだ。泣きっ面にハチとはまさにこの事。

「ここから先はドロボウが横行します!絶対に荷物から目や手を離さないようにして下さ~い!!」私が各車輌をまわり、同行の7名に口がすっぱくなる程言っているにもかかわらず、ある親子はわたしのこの忠告に耳をかさなかった。そう、この親子こそ、あのスイートルームを水浸しにした張本人達なのだ。