そして来た道を振り返ると、何と知らぬ間に何百メートルも歩いたらしく、元に戻れない程遠いのだ。「クマにかみ殺される!」という恐怖が二人を包んだ。

クマはジッと木の間から私達の様子をうかがい、突然「ガオー!」と今にも出てきそうな気配さえする。後にも先にも行けない。

 

「ア~!」頭は真っ白!。パニック状態になった。

足が前へ動かない。もうその頃には足元という足元にはウンコだらけ。私達は確実にクマの棲みかに突入したと思われる。

二人のオバサンは日本の皆さんのさらし者になるだろう。

明日の日本の新聞の見出しが頭に浮かぶ。一般紙ならこうだ「カナダにおいて邦人の中年女性二人、クマの棲みかに無防備で踏み込む」。スポーツ紙だったらこうだ「無知な中年オバサンとんだ休暇、無防備で踏み込むクマのウンコの真っ只中」

外国へ行って恐怖を味わう事は何度かあったがこれは極上だ