「カラカラ」「ガラガラ」「ガラガラ~~ッ」パニック状態で必要以上にビンを振ると一体どうなるか‥‥「バッシーーン!!!」ビンは、助かると思った私達の希望と共に砕け散った。そして私達を守ってくれる物は何も無くなった。

「あーこれでおしまいだーーッ」でも私はあきらめなかった。

「音がだめなら声だ。声を出さなくては、声を!」そう心が叫ぶ。しかし出ない。こんな事はかつて一度も無かった。友人Mさんをつついて「う、う、歌おう!」とやっと言えたが、彼女もまた緊張のあまり、声が出ないのである。首だけ振って私に合図している。

「あッ、あッ、あッ、ある~日‥‥もッ、もッ、森の中~‥‥クッ、クッ、クマさんに~出会った~‥‥」

二人で歌える共通の歌が、これでは余りにも悲しすぎる。しかも緊張で、途中までしか思い出せずこればっかりを繰り返すしかなかった。